高性能で環境に優しいポリマー材料をつくる
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(9) 産業と技術革新の基盤をつくろう
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(12) つくる責任 つかう責任
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(14) 海の豊かさを守ろう
研究室概要
皆さんは輪ゴムが切れて嫌な思いをしたことや海洋汚染の原因となるマイクロプラスチックのニュースを見たことはありませんか?吉江研究室と中川研究室では、日々の生活の中で身近なゴムやプラスチックをはじめとしたポリマー材料に関する研究を行っています。目には見えないポリマーの構造をダイナミックに制御することで「ひとりでに治るゴム」や「自然環境中で分解するポリマー」、「構造が均一で高強度な架橋ポリマー」などの開発を行い、皆さんの暮らしを豊かにするポリマー材料を目指して研究に取り組んでいます。キャンパス公開では、当研究室の研究内容に関するポスター展示や実際に合成したゴムの展示、スーパーボールづくりの体験会を行います。意外と知らないポリマー材料を見て、触れて、学びに来てください。
吉江研究室と中川研究室では、高分子の分子運動性と階層構造を理解し、制御することで新しい材料の機能を探求しています。また、環境高分子材料の開発にも力を入れています。加えて、環境高分子材料の開発にも力を入れており、バイオベース、海洋分解、ケミカルリサイクルなどの技術を進めています。具体的な研究テーマとして、以下のようなものがあります:
自己修復性ポリマー:
水や穏やかな加熱をトリガーとして自己修復するポリマーの研究をしています。最近では、二つの-OHが近接したジオール基という極めてシンプルな分子を導入することでタフで自己修復が可能な材料を開発しています。
自然界にヒントを得たタフなエラストマー:
ムール貝はその体を岩に固定するために強靭な足糸を持っています。このような生体組織に共通して存在する、動的結合の疎密による多相構造を人工ポリマー材料中に再現することで、高いタフネスと疲労回復性を持つ材料を開発しました。
使用時にはタフで、環境中では容易に分解するポリマー:
廃プラスチックの地球環境への影響が問題視される中、私たちは可逆的に解離と再結合が可能な動的共有結合を用いることで、使用時には十分なタフネスを示しつつ、自然環境中の外部刺激によって加速的に分解するポリマーを開発しています。
構造均一なポリマーネットワーク:
ゼリーやゴムといった弾力のある材料は、ポリマー鎖間を橋架けした網目(ネットワーク)からできており、架橋ポリマーと呼ばれます。一般的なポリマーネットワークは構造が不均一であり、その不均一性による物性の低下が課題となっています。私たちは多分岐ポリマーを用いて構造均一なポリマーネットワークを開発し、既存材料をはるかに超える物性を持つ究極の架橋高分子を目指しています。
研究テーマにご関心を寄せていただいた方は、ぜひ当研究室のホームページもご覧ください!