人間・社会系部門

ハードとソフト、国内と国際の視点からの防災研究

  • (1) 貧困をなくそう

  • (9) 産業と技術革新の基盤をつくろう

  • (10) 人や国の不平等をなくそう

  • (11) 住み続けられるまちづくりを

研究室概要

現在大地震が多発する時期を迎えているわが国では、今後30〜50年の間に、M8クラスが4、5回、M7クラスの地震が40〜50回発生すると考えられる。首都直下地震(M7クラス)や南海トラフ沿いの巨大地震(M8クラス)はその代表である、中央防災会議は、南海トラフ沿いの連動型の超巨大地震(M9クラス)の被害は約220兆円、首都直下地震は約95兆円、両者を合わせた建物被害(全壊・全焼のみで)は300万棟以上、死者数は約35万人と想定したが、これらは発災直後の延焼火災や津波による被害までが対象である。2018年6月に、これらの災害の長期的(20年間)な経済損失を土木学会が試算した。その結果は、南海トラフの巨大地震で約1,541兆円、首都直下地震では約855兆円であった。まさに国難的災害である。
 現在の我が国の財政状況や少子高齢人口減少社会を考えれば、今後の我が国の巨大災害への取り組みは「貧乏になっていく中での総力戦」と言える。防災の担い手には、「自助・共助・公助」の3者があるが、今後は「公助」の割合は益々減っていくことが予想され、これを補う「自助」と「共助」の確保とその活動の継続が重要になる。しかし、従来のように、「自助」と「共助」の担い手である個人や法人、NPOやNGOの関係者の「良心」に訴えるだけの「防災」はもはや限界であり、活動主体に対して、物的・精神的な利益がもたらされる環境整備が不可欠だ。重要なキーワードは「コストからバリューへ」と「フェーズフリー」である。従来のコストと考える防災対策は「一回やれば終わり、継続性がない、効果は災害が起こらないとわからない」ものになるが、バリュー(価値)を高める防災対策は「災害の有無にかかわらず、平時から組織や地域に価値やブランド力をもたらし、これが継続性される」ものになる。平時の生活の質を向上させるサービスや製品、生き方などが、災害時にもそのまま活動できる「フェーズフリー」な防災対策は新しい付加価値をもたらす。
 私たちの研究室では、上記のような認識の基づいて、ハードとソフト、国内と国際の視点から災害に強い社会を実現する戦略研究を行っている。

担当教員 / 研究室
目黒公郎/目黒研究室

目黒公郎/目黒研究室