
力で見る
-
(3) すべての人に健康と福祉を
-
(4) 質の高い教育をみんなに
-
(5) ジェンダー平等を実現しよう
-
(8) 働きがいも経済成長も
-
(9) 産業と技術革新の基盤をつくろう
研究室概要
本研究室では、様々な計測技術を応用して、原子の周りの力、摩擦や生体分子活動に伴う力や振動の計測を行っています。”力”で見ると,光とはまた違った世界が見えてきます.研究以外に,メーカースペース活動を支援し,簡単なアイデアソン(アイデアマラソン)や海外のものづくり工房とのイベントを実施しています.ものをいじって考える,考えてからいじる.みんなの集いの場所として,ものづくり工房”キャンプ駒場4”を準備しています.
力を通して対象物を調べることにより、様々なことがわかります。例えば、極微の世界では、原子一個一個が周囲に出している力の強さ、どのくらい遠くまで力が及んでいるかを調べると、原子の個性が見えてきます。この個性を例えば、3個の独立した指標で測り、赤、緑、青の色の明さに対応させると、カラーの原子像を描くことが可能になります。色が一緒であれば、おそらく、同じ原子であったり、原子が同じ状態にあることを示唆しています。別の例では、水に浸けた表面を詳しく力で調べると、水分子が構造化して、まるで氷のように並んでいる様がわかります。もう少し大きい世界に目を向けて、擦れ合う表面の擦れ易さを測ると、表面の濡れやすさや、水の膜の分布を見ることができます。これまでに培われた、超高感度の計測方法を応用すると、水中微小生物や、生殖細胞の出す力や音・振動を計測することも可能となってきています。光を使った顕微鏡で観察することは対象と向き合う第一歩としてとても大事ですが、微小な力に着目し,振動や音を聞くことは、今まで気付いていなかったことを見つけるきっかけになるかもしれません。目をつぶり、耳を澄ますと、確かに、極微の世界から様々な音が聞こえてきます。
- 担当教員 / 研究室
- 川勝英樹
- 小林大
カラー原子間力顕微鏡
音色を聴いて描いた原子地図
桜色、空色、若葉色。新しく開発されたカラー原子間力顕微鏡は、柔らかい色で原子の地図を描きます。

装置はシンプル.先端が原子ひとつ分という尖った針を,音叉のような素子に固定して振動させると,音が響きます.音とは言っても,蝙蝠にも聞こえない数百万ヘルツという高い音です.針先を対象に近づけて一秒間に数千回上下させると,表面の原子から様々な力を受けて素子がたわみ,音が揺らぎ,固有の音色が響くのです.この音色の特徴を,赤,緑,青の濃淡に置き換え,重ね合わせたのがこの地図.表面が同じ原子や状態であれば,同じ音色,同じ色になるはずです.今後の発展に注目が集まる合金や触媒,分子やデバイス.その表面に並ぶ原子の特徴や働きを,色あざやかに短時間で描き出します.DOI:10.1063/1.4991790
ものづくり工房”キャンプ駒場4”いよいよオープン間近
子供はものをいじるのが大好き.遊びの中から法則を見出し,新しいものを工夫し,さらに遊びを発展させていきます.このような好奇心と創造力があらゆる年齢層や分野でもっと活性化できたら,それはそれは楽しく,色々なアイデアが湧いてくると思います.キャンプ駒場4では,手始めに,”とにかく面白いもの”,”困っている人の助けになるもの,困った状況を解決するもの”,”学術的に意味のあるもの”の三つの軸を掲げ,参加者の自由な発想でキャンプ生活を楽しんでもらいます.2022年夏,開園間近,どうぞご期待ください.

川勝英樹/川勝研究室