低密度なまち

人間・社会系部門

都市の次へ

  • (11) 住み続けられるまちづくりを

研究室概要

技術の急速な発展によって大きく変化する21世紀の社会に対して,建築空間や都市空間に何ができるでしょうか.本研究室では,人間の脳の働きを計測し分析することによって,知覚レベルで心地よい空間を有する都市のあり方を探求しています.そうした空間は人間の生産性と創造性を高め,全く新しいアイデアの発想を導くことが期待できます.
また同時に,地域の風景に関する研究も進めています.統計的調査とフィールド調査に基づき,人口減少のトップランナーである日本における従来とは異なる低密度な社会とその風景のあり方について検討しています.両研究をもとに「都市の次」を構想することが私たちの研究目標です.

担当教員 / 研究室
川添善行

「建築設計学」をかかげる川添研究室では,発足して10年の間に多くのプロジェクトを進めてきました.それらのプロジェクトは茶室やトイレなどの小さな空間から,実験住宅,ロボットホテル,ビル一棟丸ごとの改修といった挑戦的なもの,そして体育館や大学図書館など,より公共性の高いものまでさまざまでしたが,すべてのプロジェクトにおいて,人びとの環境に対して何ができるのか,工学としていかにアプローチすることができるのかという問いをたてながら建築のデザインを考えてきました.

また,建築設計や地域再生事業を通して多くの地域との出会いがありました.当研究室ではそれぞれの地域の風景をつくりあげてきた技術や文化,社会と人を理解し,その場所に呼応するような空間をデザインすることで地域に対して何ができるかを考えてきました.なかでも和歌山市の加太という小さな漁村集落では,地域ラボとして川添研の分室を設置し,長期間の滞在を通して地域に入りこむことによって,大学がもつ知識をローカライズすることに挑戦してきました.これから多くの成果があらわれてくることを期待しています.

今年のキャンパス公開では,現在新たに始まっている2つの研究(概要で述べた脳による空間の知覚に関する研究と低密度社会の風景に関する研究)について紹介します.

川添善行/川添研究室