
Ensemble Preservation -建築保存の新たな形-
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(11) 住み続けられるまちづくりを
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(12) つくる責任 つかう責任
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(13) 気候変動に具体的な対策を
研究室概要
私たちの研究室では近代の建築や都市の歴史を研究しています。近代以前の建築や都市は、自然・文化・歴史など、地域固有の条件に強く束縛されていました。言い換えれば、地域固有の生態圏に適応せざるをえませんでした。私たちはそれを「地域生態圏適応型社会」と呼んでいます。他方、近代は科学技術や理性を駆使して、地域生態圏から人々をいくらか自由にしました。経済を成長させ、地域間の格差もある程度は小さくなりました。しかし同時に、環境問題や新たな社会課題を引き起こし、均質で味気ない社会にもなってしまったかもしれません。そこで私たちは、いま一度近代の歩みを批判的に検証しながら、地域生態圏を制約ではなく資源と捉える可能性を探っています。他の地域生態圏では得難い価値をそれぞれが生み、地域を越えて共有する。そんな「地域生態圏活用型社会」を目指しています。そのために、地域生態圏と都市・建築の関係を読み解くリテラシーを鍛え、その記録・継承・更新に取り組んでいます。
- 担当教員 / 研究室
- 林憲吾
展示概要/B棟1Fピロティ
建築史を専門とする私たちは、歴史的な建物の保存継承にしばしば関わります。しかし、多くの人には、保存は引き継がなければならない過去からの重荷や制約であり、あまり関わりたくないものかもしれません。ただ、保存をもう少し柔らかく「過去を未来の養分にする」と捉えれば、引き継ぎ方も無限の広がりを持ちます。たとえ建物が解体されても保存だと思える道も出てくるでしょう。
保存する/しないではなく、今回はどんな保存にしようかと、様々な考えやスキルを持った人たちが、過去と対話しながら想像力を働かせる。保存が日常になるとはそういうことではないでしょうか。アンサンブルをするように色んな人が保存を楽しむ。そんな社会に向けて、保存の間口を広げるためのリサーチと実践を展示します。