物質・環境系部門

ひも状分子をつないで網にして、柔軟で強い材料をつくる

  • (9) 産業と技術革新の基盤をつくろう

  • (12) つくる責任 つかう責任

研究室概要

ゼリーやゴムといった弾力のある材料は、細長いひも状の高分子鎖の間を橋架けした網目(ネットワーク)からできており、架橋高分子と呼ばれます。私たちは、網目構造の精密制御と構造物性解析を通じて、架橋高分子の未踏・極限物性に迫ることを目的として研究しています。

担当教員 / 研究室
中川 慎太郎

お知らせ

何を研究しているの?

私たちの身のまわりには、押したり伸ばしたりできるけども、もとのかたちに戻るようなモノがいろいろあります。ゼリーは「ぷるん」としていて、簡単に押してへこませることができます。しかし、押すのをやめれば、もとの形に戻ります。輪ゴムも、力をかけると「びよーん」と伸ばすことができます。これも、力をゆるめれば、もとの形に戻ります。このような性質を「弾性」といいます。

ここで挙げたような、弾性を示すやわらかいモノたちには、ある共通点があります。それは、ものすごく細かーく見てみると、ひも状の分子=高分子をつなげた「網目」からできている、という点です。このような、高分子の間に橋を架けてできる網目のことを、「架橋高分子」といいます。

人類にとって最も重要な架橋高分子のひとつが、ゴムです。自転車や自動車のタイヤ、靴底、ゴム手袋など、さまざまな用途に使われているゴム材料。ゴム材料なしには、私たちは現代的な生活を送れないと言ってよいでしょう。ゴムもやはり、ひも状の高分子の間を橋架けした架橋高分子です。

意外なところにも、架橋高分子は使われています。紙おむつの中には、大量の水分を吸収・保持することができる吸水性高分子が入っています。この吸水性高分子も、実は架橋高分子なのです。水が入ると網目がふくらんで、多くの水をとらえておくことができるのです。

こういった架橋高分子の性能は、その中の網目がどうつながっているかによって大きく変化します。私たちは、ひも状分子でできた細かな網目のつながりかたを工夫して、きれいな網目をつくることによって、より高性能な次世代の架橋高分子をつくる研究をしています。